「AV新法」が成立するというタイミングで、またAVに関して別の観点から問題視する意見が登場してきました。
それが「AVの撮影で、実際に本番を撮影しているのはけしからん!」という意見です。
この意見は昔から語られることが少なくはないのですが、今回再び大きく取り上げられるきっかけとなったのが「AV新法」の成立であることは間違いありません。
これらの問題についてはさまざまな人がTwitterなどで意見を表明していますが、意外と勘違いや誤った事実関係から語られている意見が多いのも事実。
そこで今回は、まず「AVで本番は禁止されるのか?そもそも本番の撮影は違法なのか?」という点に絞ってご説明していきます。
そもそも「AV新法」の成立によってAVの本番撮影が禁止されるわけではないことを知っておこう
意外と多い勘違いが「AV新法」が成立することで、AVの本番撮影が禁止されるのではないか、という意見です。
こういった勘違いをしないためには、そもそも「AV新法」がどういったものなのか、理解しておくことが必要になります。
そもそも「AV新法」とは、成人年齢が18歳に引き下げられたことによって起こると考えられている「AVへの出演強要」を防ぐことを目的として議論が始まった法律です。
そこから「年齢や性別にかかわらず、出演の強要を防ぎ、契約解除も比較的自由にできる」という法律へと変化していきました(めちゃくちゃザックリとした説明です)。
つまり「AV新法」とは、AVの出演者を被害から守ることを目的とした法律であって、AVの本番禁止とはまったく関係ない話であるわけですね。
ただしここを問題視したのが、AVでの本番撮影は認められるべきではない、と考える人たちです。
「AV新法では本番撮影を禁止していない、だからAV新法が成立してしまうと、逆にAVでの本番撮影が認められたことになってしまう!」
そう考えた人たちによって「AV新法」の成立反対論が沸き起こってきたわけです。
そのあたりがゴチャゴチャになって「AV新法が成立すると、AVでの本番撮影が禁止されてしまう!」と誤解している人が、Twitterなどで発言している姿も見かけられます。
AV女優さんを含む、AV関係者にも意外とこの誤解をしている人がいるようなんですね。
自分の意見を発言することはけっして悪いことではありませんが、間違った情報を発信すると自分だけでなく周囲も困った状況に陥ってしまうかもしれませんし、発言の内容についても信憑性が下がってしまいます。
発言する際には、そのことに対してしっかりと調べてみるのが大切、と言えますね。
AVでの本番撮影はそもそも違法なの?これに関しても意外と誤解は多い!
「AV新法」の成立に反対する人たちは「AV新法の成立によって、本番撮影が合法になってしまう」と言っています。
これについて考えてみると「そもそもAVの撮影で本番をすることは違法なの?」という疑問が出てくるのではないでしょうか。
はっきり言ってしまえば、AVの撮影で本番をすることは「違法」とされているわけではありません。
ただし、だからと言って「合法」であるわけでもありません。
つまり「AVでの本番撮影が違法か合法かを、はっきりと決めた法律はない」わけです。
ではなぜ「AVでの本番撮影は違法」という意見があるのかと言うと、それは「AVの本番が売春ではないのか」「AVで実際に本番行為をすると、わいせつ物頒布等の罪にあたるのではないか」という考え方があるためですね。
たしかにAV女優さんは、撮影でセックスをすることで報酬を得るわけですから「売春じゃないの?」という疑問は出てくるでしょうし、AVの販売はわいせつ物の頒布にあたるのではないか、とも思えてきますよね。
ここも実際問題として、非常にあいまいな感じではあるのですが、一応は線引きがされています。
〇AVでの撮影は売春にはあたらないとする考えが主流
まずAVでの本番撮影は、売春にはあたらないとする考え方が主流となっています。
売春とは「報酬を得る約束で、不特定多数の異性と性交すること」とされています。
しかしAVの撮影は、AV女優さんと男優さんが直接報酬をやり取りするわけではありません。
「AVに出演すること」に対する報酬として、メーカーなどの制作会社からAV女優さんと男優さんそれぞれに報酬が渡されるわけですから、売春には当たらないと考えられるわけですね。
その点、風俗の場合は「風俗店が仲介することで、不特定多数のお客の男性に風俗嬢がサービスする」という形になります。
そのため風俗で本番行為をしてしまうと、風俗店が「管理売春」をしている、とされてしまって摘発されてしまうわけですね。
そこがAVと風俗の違い、と言えるでしょう。
しかし誤解してはいけないのは「AVは売春にあたらない」と明記されているわけではない、ということ。
あくまでも「グレーゾーン」的な扱いではあります。
〇AVはわいせつ物にあたらない?
では本番を撮影したAVは、わいせつ物にあたらないのか?という問題はどうなのでしょうか。
これはそもそも「わいせつ物」の定義が、メチャクチャ曖昧という問題点があります。
つまり「AVはわいせつ物か、そうではないか」は、はっきりと決められているわけではないわけですね。
ただし「無修正」の場合は話が違い、こちらは完全に「わいせつ物」とされています。
そう考えてみると「AVは無修正ではなく、モザイクで本番している部分が隠されているから、わいせつ物ではない……?」とされているのではないか、と推測できますね。
ただしこれもあくまでも「推測」であって、けっして「モザイクで隠せばOK!」と明言されているわけではありません。
「AVでの本番撮影は違法だけどモザイクで隠されているから問題ない」という考えは間違っている!
Twitterなどでよく見かけられるのが「AVで本番撮影をするのは違法!だけどモザイクで隠すことで、実際には本番はしていない、ということになっているから逮捕されない!」という意見です。
しかしこれは、はっきり言って大きな誤解と言えます。
そもそも「AVで本番撮影をするのは違法」とは決まっていませんので、モザイクで隠せば問題ない、という意見はもう前提条件からして成り立っていないわけですね。
「昔はAVでの本番は違法だから、全部演技だった!」という人もいますが、実際には全部演技だったわけではありません。
この「AVの本番撮影は本来違法だけどモザイクがあるからOK説」は、かなり広く知れ渡っているので耳にする機会は多いかもしれませんが、AV業界で働くのであれば「それは誤解だよ」と知っておくのは大切なことです。
まとめ
もしAVでの本番撮影が違法だとしたら、いままで何人もの逮捕者が出ているはずです。
しかしAV業界で「本番行為を撮影したから」といった理由で逮捕された人はいません。
つまりAVでの本番撮影は「限りなく合法に近いグレーゾーン」と言えるでしょう。
おそらくこの状況は今後もなかなか変わらないでしょう。
「AV新法」に反対する人たちが言うように「AV新法が成立したら、本番撮影が合法になる」なんてこともありません。
このように「はっきりと合法だとは言えない」と聞くと、AV業界で働くのが不安になってしまう女の子もいるかもしれませんが、AV業界で働く人たちは自分たちの仕事が「はっきり合法とは言えない」ことを理解して、違法にはならないように気を遣ってお仕事をしている人たちがほとんどです。
AV女優さんとしても、わからない部分があったら自分で調べたり、プロダクションのスタッフに相談したり、不安な点は解消して働くことがAV業界で活躍するポイントと言えるでしょう。
今後もAV業界に関する法規制はさまざまなものが出てくる可能性がありますが、そのときはしっかりと自分でも勉強して、どういった点が問題とされているのかなどを理解してお仕事をするのが大切ですよ!