AV新法による逮捕者が出た理由とは?AV女優さんも出演者として注意点を知っておこう
2022年12月6日、AV新法による初の逮捕者が出たことが発表されました。
「AV出演による被害女性をなくす」との目的で施行されたAV新法。
しかし内容的にAV業界の正常な業務を阻害する可能性がある点、そして本来ならば守るべきAV女優さんたちからお仕事を奪い、生活を成り立たせなくなる可能性がある点など、さまざまな問題があるため、批判される存在でもあります。
そんなAV新法による逮捕者が出たことにより「AV新法は正しい、必要なもの」のように語る人もいるのですが、はたして本当にそうなのかは疑問もあります。
そこで今回は、AV新法による初の逮捕者がどういった理由で逮捕されたのか、そしてAV女優さんは出演者として、どういった点に注意するべきなのかについて、解説していきます。
AV新法による初の逮捕者が逮捕されたのはAV新法に抵触する部分以外の問題も大きい
AV新法による初の逮捕者となったのは、映像制作会社役員の男性です。
このように書くと、いかにも「AV制作会社・AVメーカーの人間が逮捕された」かのように見えてしまいますが、けっしてそうとは言えません。
「エッチな映像を制作しているんだから、AVメーカーでしょ?」と考える人も多いでしょうが、少なくとも「適正AV」を制作しているメーカー陣に名前を連ねるような存在ではないのです。
ここの部分は非常に難しいところで、どの範囲までを「AVメーカー」と呼ぶかは厳密に決まっているわけではありません。
「適正AV」を制作しているのがAVメーカー、と定義してしまうと、表現上の自由を阻害されることを理由に「適正AV」に加盟していないAVメーカーは何なのか、という話になってしまいます。
ただ大事な部分として、少なくとも「適正AV」を制作しているメーカーとは何の関わりもない映像制作会社から逮捕者が出た、という点は覚えておくべきでしょう。
○映像制作会社役員の男性が逮捕された直接の原因はAV新法とは関係ない
ではこの逮捕された男性はどのような映像を制作していたのか、と言えば、DVDとして発売するのではなくアダルト動画販売サイト「FC2」に動画を投稿し、販売するためのアダルト動画を制作していたのです。
どちらかと言えば「同人AV」と呼ばれるジャンルのアダルト動画と言えるでしょう。
そしてさらに言えば、この映像制作会社役員の男性がそもそも逮捕された理由は「FC2で無修正動画を販売していたから」というものです。
無修正動画は「海外にサーバーを置いている動画販売サイトを利用すれば、日本でも販売できる」と考えられていた時代もありました。
しかし実際は、サーバーが海外にあろうが国内にあろうが、無修正動画の販売は違法です。
そうやって逮捕されたうえ、さらに出演した女性たちと「契約書」を交わしていなかった、この部分がAV新法に違反しているため、再逮捕されたわけです。
つまりこの男性の逮捕にAV新法が役立ったわけでも、AV新法がなければこの男性の逮捕ができなかったわけでもない、ということになります。
○AV新法はAVに出演する女性の権利を守るものではあるが現在はそれ以上に弊害の方が大きい
「でもAV新法があったから、この男性を再逮捕できたわけでしょ?」
そういった意見も、ひとつの真実ではあります。
そもそもAV新法のメインの目的は「AVに出演する女の子を守る」ことにあります。
AVに出演する際には「契約書」の存在は出演するAV女優さんを守るためにも、撮影時や撮影後にトラブルを起こさないようにするためにも、非常に重要なものです。
そのため「ちゃんと契約書を作製して、契約を交わさなければ逮捕される」というプレッシャーを与える意味では、AV新法は有効ではあります。
ただしそれ以上に、AV新法はAVメーカーさんやAV女優さんに対する負担が大きくなり、特にAV女優さんにとってはお仕事の減少につながる、というデメリットのほうが大きい、と言わざるを得ません。
「必要なものではあるけれど、AV業界の実情に合わない」との理由で、さまざまな人がAV新法の改正を求めているのは、そういった事情があるためなのです。
AVの撮影トラブルに巻き込まれないためにAV女優さんが気を付けなければならない点とは?
プロダクションに所属しているAV女優さんの場合は、お仕事は自分で取ってくるものではなく、プロダクションのマネージャーを通じて依頼されるものであることがほとんどでしょう。
怪しげなお仕事などはプロダクションが把握した時点で排除してくれますし、契約書などの問題もプロダクションがしっかりAVメーカーさんと話をしてくれます。
そのためAV女優さんとしては撮影の内容に問題がないかを確認し、契約書にサインすれば良い程度に簡略化もできている、と言えるでしょう。
それではAV女優さんがトラブルに巻き込まれないために、注意しておくべき点をご紹介しましょう。
○プロダクションを通さずにAV女優さん個人としてお仕事を受けない
「AV女優さんとしてのお仕事を、プロダクションを通さず個人で受ける」なんて場合も考えられますが、そもそもプロダクションを通さずにお仕事を受けること自体、プロダクションから禁止されているものです。
ときどき、どのお仕事もプロダクションを通さなければならないことを不満に思うAV女優さんもいるようですが、トラブルを避けるためには禁止せざるを得ない、という面もあります。
一時期、お笑い芸人さんが所属事務所を通さずにお仕事を受けて、それが反社会的勢力との関わりだった、などの理由で大きなトラブルになったことがありました。
そういったトラブルを起きないようにするために、お仕事はすべてプロダクションを通して受けるようにしましょう。
特に有名AV女優さんになると、個人的に知り合った友人や知人から「こんなお仕事があるんだけど……」と声をかけられる機会も出てきます。
そんなときも、プロダクションに報告をして、ちゃんとプロダクションを通したお仕事として受けるようにするようにしてください。
○契約書にない内容や事前に聞いていない撮影内容は断る
現在のAVでは、出演するAV女優さんに撮影内容を事細かに説明して、問題ないことを確認してから撮影がおこなわれます。
そもそもこういった撮影内容の説明がないようなお仕事は、受けるべきではありません。
プロダクションのほうでそのような怪しいお仕事は受けないようにしてはいますが、もし「そろそろ撮影予定日が近付いてきたけど、説明を受けていない」などという状況になったら、すぐにマネージャーに確認しましょう。
また撮影現場では、常にマネージャーが一緒にいてくれるとは限りません。
AV女優さんだけで撮影に臨むケースも多くなりますので、もし撮影現場で聞いていない内容の撮影がおこなわれそうになったら、すぐにマネージャーに電話して確認しましょう。
まとめ
AV新法による初めての逮捕者が出ましたが、そもそもこの逮捕者はAV新法に関係ない部分でも逮捕されるべき人間だった、と言えます。
逆に言えば、AV新法が成立して以来、適正AVやしっかりAVメーカーとしてお仕事をしている人たちからは逮捕者が出ていないわけですから、一般的なAVメーカーさんはちゃんとAV女優さんたちの権利を守りながらAVを制作している、と証明しているわけです。
AV新法にはさまざまな問題点もありますが、AVに出演するAV女優さんのことを守る、という目的には悪い部分はありません。
AV関係者のなかには、AV新法を一方的に「悪いもの」であるかのように言う人もいますが、けっして話はそう単純なものではない、と言えるでしょう。
うまく本来の「AV女優さんを守るための法律」として機能するように、改正されれば良いのですが、一度成立してしまった法理はなかなか改正はできないものです。
AV女優さんとしては、自分でも守るべき部分を守りつつ、目の前のお仕事を一生懸命こなしていくことが必要になるわけですね。
もちろんプロダクションとしても、精一杯そんなAV女優さんのサポートをしていきますので、なにか困ったことなどが起きたらすぐに相談してください!