AV新法の成立によってこれからのAV出演はどんな流れになるのかをチェックしておこう

AV新法の成立によってこれからのAV出演はどんな流れになるのかをチェックしておこう

2022年6月15日、AV新法こと「AV出演被害防止・救済法」が成立しました。

賛成派や反対派などからさまざまな意見があり、じゅうぶんな議論がなされてからの成立だったのか、など疑問の声もあるなかでも成立となりましたが、成立した以上は今後、AV業界はこのAV新法に定められたルールによって撮影をおこなわなければならない状態になったことは確実です。

ではこのAV新法の内容とはどういったもので、実際のAV撮影ではどのような影響があるのでしょうか?

AV業界で働くAV女優さんであれば、このAV新法の内容を知っておいたほうが良いですので、今回はAV新法についてご紹介します。

AV新法は望まぬAV出演を強要される被害者が出ることを防ぐための法律

AV新法は正式には「AV出演被害防止・救済法」との名称となっています。

脅されたり賠償金を請求されたりして、AVへの出演を強要される被害を防ぐだけでなく、実際にAVが販売されてからそのことを後悔し、精神的・身体的な健康を損なうことや日常生活においての悪影響が出ることを防ぐことを目的としている法律になります。

ちなみにこの法律はAV女優さんだけではなく、男優さんにも適用されます。

また最初は「成人年齢が18歳に引き下げられたことによる、未成年のAV出演被害を防止する」ことを目的として議論がスタートしたのですが、結局未成年だけではなく全年齢の出演者にまで範囲が拡大されたのもポイントですね。

具体的には、AVに出演する人の権利として、次の3つが規定されています。

①場合によっては契約の取り消しや解除ができる

AVに出演するにあたって結んだ契約に瑕疵や違反があった場合は、契約の取り消しや解除ができるようになっています。

もうすでにAVが販売されている場合は、AVの回収や販売差し止めをメーカーに請求できるわけですね。

②契約に問題がなくても期間内なら契約の取り消しや解除ができる

AVの公表後から1年間(新法成立後は経過措置として2年間)の間なら、無条件で契約の取り消しや解除ができます。

この場合もAVの回収や販売差し止めの請求は可能です。

③意に反する性行為の撮影は拒絶できる

やりたくないプレイなどの撮影は、現場で断ることができます。

もし性行為を拒否することで損害が出たとしても、それを賠償する責任はありません。

AV新法によってAV撮影の流れも大幅に変わる!メーカー面接から発売まで半年以上必要になる可能性も

AV新法では、出演者の権利だけではなく「制作者の義務」も決められています。

まずAVを撮影する場合は、作品ごとに出演者と契約書を交わさなければならなくなりました。

つまり10本のAVに出演しようとしたら、10回契約書を交わさなければならないわけですね。

メーカー専属の単体女優さんは、月に1本の撮影が基本ですからそれほど負担ではないでしょうが、問題は毎月何本ものAVに出演するキカタン女優さんや企画女優さんの場合です。

契約書を確認してサインする、その事務作業だけでもかなりの負担となることが考えられますので、キカタン女優さんや企画女優さんはその点を把握しておく必要があるでしょう。

「面倒くさい!」と思うかもしれませんが、契約しなければ自分自身がAVに出演できなくなってしまいますので、どうしても必要な作業と割り切って考えてください。

また撮影するAVの内容についても、事前に書面で交付されます。

これは現在でも、適正AVの世界では撮影の前には台本が送られてきて当日の撮影内容が知らされ、異論があったら断ることができますので、そこまで大きな変化とは言えないでしょう。

ここまでは撮影以外で変化があったポイントです。

AV新法の成立によって、AVの撮影自体の流れにも大きな変更があるので注意しましょう。

まずAV撮影の前には必ず契約を交わしますが、この契約から実際に撮影するまでには1ヶ月の時間が空けられるようになりました。

契約してから本当にAVに出演しても良いか、考える時間としてこの1ヶ月が取られていると推測されます。

もちろんAV出演に悩んでいる人が、この期間で考え直して出演を止める、という可能性もありますので、けっしてムダな時間ではありません。

「バリバリAVに出演したい!」という人にとっては、もどかしい時間になってしまいそうですが……。

さらに、契約から1ヶ月を空けて、無事にAVの撮影が完了したとしましょう。

AVの撮影が完了したとして、そこから4ヶ月は「AVを撮影したこと」の公表ができなくなります。

つまり撮影が終わってから4ヶ月間は、そのAVについての宣伝もできなくなってしまうわけですね。

現在はAVの発売前に宣伝期間として、雑誌などで作品について紹介したり、サイトにサンプルムービーや作品情報をアップしたり、といった手法が取られているのですが、撮影から4ヶ月間はそれらの宣伝もできなくなります。

もし「ちゃんと宣伝してからAVを発売したい!」とメーカーが考えた場合は……。

「契約」→1ヶ月→「撮影」→4ヶ月→「宣伝」→1~2ヶ月?→「発売」という流れになります。

つまり1本のAVにつき、契約から発売まで半年近くが必要になることが考えられます。

これだけ契約から発売までのスパンが長くなってしまうと、AVの販売数自体もそうですが、AV女優さん自身を宣伝して売り出すこともなかなか難しくなりそうですね。

今回のAV新法成立によって、実はもっともAV業界的に影響が大きいのは、出演被害防止ではなくこの「発売までのスパンが長くなること」との意見も業界からは出ているんです。

これからAV女優さんとしてデビューしたいのであれば「本当に出演して良いのか」をじっくり考えるべき

AV新法の成立によって、AV出演者の権利が強化されることを評価する声もあります。

もちろんAV出演の強要などはあってはならないことですし、AVへ出演したことを後悔する人たちがいなくなることは、AV業界としても歓迎するべきことです。

ただしAV新法で「さまざまな権利が守られているから」という理由で「イヤになったら辞めちゃおう」なんて気持ちでAVデビューを決めることは、避けるべきです。

そんな気持ちでAVデビューしても、AV女優さんとしての活動自体が楽しめるとは考えられませんし、AV業界で活躍するAV女優さんになれる可能性も高くありません。

またAVが一度発売されると、たとえ契約を解除して動画配信の停止や商品の回収をメーカーに依頼したとしても、世の中から作品が完全に消えることはありません。

DVDとなってお客さんの手元にある商品まで回収することは不可能ですし、違法な海賊版サイトなどにAVがアップロードされてしまったら、そのデータは半永久的にインターネットの世界で出回り続けることになります。

そういった点をしっかりと考えて、それでもAV女優さんとして頑張っていきたい、AV業界で働いてみたいと決心してから、ぜひAV業界への門を叩いてください。

そんな「本気」な女の子を全面的にサポートして、一緒に頑張っていけることがプロダクションとしての希望なんです。

まとめ

AV新法の成立によって、AV業界にはさまざまな変化が出てくることが予想されます。

しかしなにしろまだ成立直後でもあるので、具体的な変化が出てくるのはまだまだこれからかもしれませんが、なによりも「AV業界で頑張ろう!」という気持ちがあれば、どんな状況でも活躍できるはずです。

もちろんプロダクションとしても全力でサポートしていきますので、今後AV女優さんとして活躍していきたいのであれば、ぜひ一緒に頑張っていきましょう!